メディカルニュース
抗生物質の探索に新手法
Science
シグナル伝達を阻害することで新たな抗生物質がみつかるかもしれない。

  多くの病原性の細菌は,配列が保存された膜ヒスチジンセンサーキナーゼ「QseC」をもっている。 QseCは,宿主のアドレナリンシグナル分子と,細菌自身のシグナルを認識し,毒性因子の発現を促進している。
アメリカ,テキサス大学のラスコ博士らは,15万もの低分子化合物ライブラリーの中から,ハイスループットスクリーニングによって,QseCの毒性因子の発現を阻害する化合物「LED209」を同定した。 LED209は,QseCへのシグナル分子の結合を阻害する。
その結果,QseCの自己リン酸化が阻害され,それにつづいておきる毒性遺伝子の発現活性化も阻害される。
LED209に毒性はなく,病原菌の成長を阻害することもない。それにもかかわらず,LED209は,細胞実験および動物実験において,数種類の病原菌の毒性をいちじるしくおさえることがわかった。
シグナル伝達の阻害は,広範囲の病原菌にきく抗生物質を開発する手がかりになるかもしれない,と博士らはのべている。
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