メディカルニュース
恐怖を消し去るニューロン
nature
扁桃体の中にあるニューロンが恐怖反応の消失に関係しているようだ。

哺乳類では,「痛い刺激」と「痛くない刺激(音や光)」を同時にあたえると,痛くない刺激を恐怖刺激として学習する。
そのあとで痛くない刺激だけをくりかえしあたえると,最初に示していた恐怖反応が徐々に失われていく。
このように恐怖が消失していく過程は,脳の「扁桃体」でおきることが示唆されているが,そのくわしいメカニズムは不明であった。
アメリカ,ニュージャージー州立大学のリキティク博士らは,ラットを使って,扁桃体にある「介在(ITC)ニューロン」の数と,恐怖反応の消去についての関連を調べた。
ITCニューロンは,扁桃体において恐怖刺激の情報を仲介する役割をもっているため,恐怖反応の消去に関係していると考えられている。実験の結果,ITCニューロンを特異的に減少させたラットでは,恐怖消失がおこりにくくなることがわかった。
博士らは,ITCニューロンのはたらきを制御することで,不安障害を治療できるかもしれない,とのべている。

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