メディカルニュース
タミフルが効かない理由
nature
ウイルスの立体構造を調べて,阻害薬への耐性の原因を突き止めた。

抗ウイルス薬は,新しいウイルスによっておきる最初のインフルエンザ大流行をおさえるために最も必要と考えられていて,その備蓄に重点が置かれている。
これらの薬の主なターゲットは,ウイルス表面の糖タンパク質である「ノイラミニダーゼ(NA)」である。
NAは宿主細胞表面のレセプターからシアル酸を取り除くことで,新しくつくられたウイルスの放出を助長し,感染を拡大させる。現在使われているノイラミニダーゼ阻害薬である,タミフルとリレンザは酵素の立体構造をもとに開発された。
イギリス,MRC国立医学研究所のコリンズ博士らは,H5N1感染患者から分離したノイラミニダーゼ変異ウイルスの立体構造と酵素活性を調べた。
その結果,この変異ウイルスはタミフルへの耐性はあるが,リレンザへの耐性はないことがわかった。
これは,タミフルの結合に必要な,酵素活性部位にある親水性ポケットの構造が変化していることが原因であることが突き止められた。
博士らは,抗ウイルス薬の備蓄を見直し,タミフルだけではなく,リレンザを含めたほかの薬もふやす必要がある,と主張している。

CLOSE

CLOSE