メディカルニュース
毒を弱める新たな方法
Science
コドンの使用頻度のちがいを利用して,ウィルスの弱毒化に成功した。

生物が体内でタンパク質を合成するとき,一つのアミノ酸に対して複数のコドン(アミノ酸を指定する3塩基配列)が存在する場合が多い。
ウイルスをふくめた多くの生物において,ある一つのコドンが他のコドンよりも高頻度に使われる「コドンバイアス」という現象がみられる。
これに関連して,2つのアミノ酸ペアをコードするコドンペアにおいても,ある組み合わせのコドンペアが,ほかのペアよりも高頻度で使われる「コドンペアバイアス」という現象がある。
アメリカ,ストーニーブルック大学のコールマン博士らは,マウスを使った実験によって,低頻度のコドンペアを使うように改変されたポリオウィルスは,病原性が低下することを明らかにした。
このようにしてつくられた弱毒化ポリオウイルスをマウスに投与したところ,ポリオに対する免疫が得られた。
ワクチンとしては,このような弱毒化ウイルスのほうが不活化ウイルスよりも安全であるという。
博士らは,「コドンペアバイアス」を利用することで,多くのウイルスに対する弱毒株ワクチンを開発するのに役立つだろう,とのべている。

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