メディカルニュース
サルをハンチントン病のモデルに
nature
突然変異サルを使って,ヒトの病気の治療法をみつけられるかもしれない

ハンチントン病(HD)は運動異常,認知力低下,精神不安などを特徴とする遺伝性の神経変性疾患であり,発病してから10〜15年で死に至る。
HDの進行を止めたり遅らせるための治療法はまだない。
HD患者では,ハンチンチン(HTT)遺伝子の第1エクソンにある,3塩基(C-A-G)のくりかえし配列が正常よりも長くなっている。
この変異HTTは,脳や末梢組織に広く発現する。とくに脳の線条体と皮質に最も多く発現し,選択的に神経変性を引きおこす。
HDの病理を理解し治療法をみつけるために,ネズミを用いた動物モデルが開発されている。しかし,ヒトのHDでみられる症状や脳組織の変化をすべて反映できているわけではなかった。
  アメリカ,エモリー大学のヤン博士らは,ヒトと生理的・神経学的・遺伝的に近いサルを用いて,くりかえし配列の長い変異HTTを発現するトランスジェニックモデルをつくった。
このサルの脳組織を調べると,HDの特徴である神経細胞の核内封入体やニューロピルの集合がみられた。
さらに,ジストニアや舞踏病などのHDに重要な臨床的特徴を示すこともわかった。
HDやそのほかのヒト遺伝性疾患について,有用なトランスジェニックモデルとしてサルを使うことができそうだ,と博士らはのべている。

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