大腿骨頸部/転子部骨折




 わが国における大腿骨頚部/転子部骨折の年間発生率は1997年では約9万2000人であり、このうち60歳以上の発生率は約8万6000人でした。発生率は40歳から年齢とともに増加し、70歳を過ぎると急激に増加します。
 高齢者が転倒した後に股関節痛を訴え歩行不能になった場合には本骨折を疑う必要があります。高度の骨粗鬆症患者では、転倒がなくても軽微な外力(たとえば、通常の歩行あるいは介護による外力など)でも骨折を生じる場合があり、さらに骨折型によっては患者が歩行可能な場合も少なくないため注意が必要です。
 治療はほとんどの場合に手術療法が選択され、受傷後できる限り早期(少なくとも1週間以内)に手術を実施することが望ましいとされています。手術法は骨髄内に金属の釘を挿入する方法や、金属のスクリューを骨折部に刺入する方法、人工の骨頭を置換する方法など、骨折型によって様々です。当院では手術後に可能な限り早期の離床および運動器リハを行い、歩行能力の獲得を目指して日々努力しております。
(参考文献:大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン)


①受傷後単純X線写真
▲①受傷後単純X線写真
②髄内釘術後単純X線写真
▲②髄内釘術後単純X線写真


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