頚椎症




 一般に7個の骨から成っている頚椎(首の骨)の中には脳からの脊髄神経(脊髄)が入っています。さらにその脊髄神経は首から手に向かう神経(神経根)を頚椎の横の穴から出しています。残りの脊髄本幹は胴体や足へ向かう神経からなっています。頚椎の骨と骨の継ぎ目にある椎間板と関節が変性や炎症を生じ、変形し余分な骨や軟骨で問題が生じたものが頸椎症です。これは悪性腫瘍ではないのですが、炎症とつぶれた軟骨や余分にできた骨で神経を圧迫して痛みやしびれが生じるものです。神経根への圧迫は、神経根症として肩や手の痛みやしびれを生じます(頸椎症性神経根症)。しびれはジンジンするなどの感覚の問題と力が入らないという運動麻痺を生じる場合があります。脊髄本幹の圧迫は脊髄症として歩行障害や進行した場合は尿や便の出が悪くなるなどの膀胱直腸障害を生じることがあります。
 診察とX線で大半は診断がつきますが、状態によってはMRI等の検査が必要です。
痛みだけの時や神経根症の場合は手術を要することは稀で、薬物や理学療法などの手術しない方法で治療することが殆どですが、脊髄症では手術をしないと進行して大きな後遺症が残ることがあります。

正常頚椎解剖図と頚椎症の解剖図
▲正常頚椎解剖図と頚椎症の解剖図
側面X線での骨棘と椎間板狭小化
▲側面X線での骨棘と椎間板狭小化
頚椎症のX線斜位像の椎間孔骨棘
▲頚椎症のX線斜位像の椎間孔骨棘


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