網膜芽細胞腫 |
網膜芽細胞腫は(retinoblastoma)は眼球内に発生する悪性腫瘍である。大部分は2~3歳ころまでに見られる小児癌であり、胎生期網膜に見られる未分化な網膜芽細胞から発生する。白血病に次いで多い小児癌です。1万5000~2万人に1人の割合で発症するとされ、両眼性と片眼性があります。悪性の腫瘍ですから、視機能だけでなく命にも関わる病気です。網膜内の腫瘍が硝子体内に隆起し、瞳孔が猫の目のように光る「白色瞳孔(cat's eye)」となる。 多くは、「子どもの瞳孔が光る」ことで発見される。治癒率が90%程度得られている。そのため、最近の関心は治癒から視機能温存に移りつつある。 治療法については、 古典的には、「両眼性であれば重篤な方を眼球摘出し、もう方眼は極力温存する」が原則でした。しかし、最近は腫瘍の広がりを詳細に検査できること、抗がん剤や放射線が比較的有効なこと、小児の全身増す管理が安全になったこと、などから、家族に十分説明して、出来るだけ眼球を温存する治療法が推奨されています。 最近の治療は、X線、放射線治療などのほか、VEC(vincristine, etoposide, carboplatin)の全身化学療法がおこなわれます。治療を行っても腫瘍が増大する場合、腫瘍が視神経乳頭に波及している場合、硝子体内に腫瘍細胞が散布している場合、は眼球摘出する。その他、放射線治療と抗癌剤やレーザー焼灼を組み合わせた治療も行われている。 眼球温存療法を行っても、眼球摘出しても、生命の予後については有意さがない治療法が確立されたと言えます。 本症は遺伝性と非遺伝性がありますが、どちらもがん抑制遺伝子であるRB遺伝子の異常です。 両眼性の場合は遺伝性が強く、両親の脳の松果体の石灰化が見られることがある。松果体は発生学的に網膜と同一で、胎生期に松果体に生じた腫瘍が自然治癒して石灰化したもので、retinomaと云われている。 他に、白色瞳孔(cat's eye)を来たす疾患として、白内障、未熟児網膜症、第一次硝子体遺残、コーツ病、網膜剥離などがあります。両親は時々子どもの目を良く見て下さい。何か異常を感じたら至急ご相談下さい。 網膜芽細胞腫については、本症の世界的権威であられる金子明博博士(元東京ガンセンター眼科部長)のHP「眼科の腫瘍専科」http://members3.jcom.home.ne.jp/akiakikaneko/を参考にすることをお奨めします。 |
▲右目の網膜芽細胞腫 |
▲両眼性の網膜芽細胞腫 |
▲腫瘍の大きさによっては眼球摘出もあり得る |