網膜色素変性症



網膜色素変性症は、両眼の進行性夜盲、視野狭窄、視力低下、後天性の色覚障害、明暗の順応障害を来たす疾患です。わが国は島国で3から4代前の先祖には近親結婚が多く、常染色体劣性遺伝疾患が多いため、本症もわが国には非常に多く見られます。
網膜色素細胞は光化学反応で生じた老廃物を分解する働きがあり、その老廃物の分解作用のために多数の酵素が網膜色素細胞の中に存在します。その老廃物の分解に関与する一部の酵素欠損のために、老廃物の蓄積により網膜色素細胞が変性するとの考えがあります。欠損酵素の種類により眼底病変も多少異なりますが、自覚症状、眼底所見、視野、網膜電位図(ERG)などで確定診断されます。
本症に対する決定的な治療法はありませんが、進行防止策として、直射日光を避ける帽子とサングラス(CPF)が有用とされています。内服としてアダプチノールが保険で認められていますが、効果に対するEBMは再検討を要します。
近い将来、光マイクロセンサー移植や再生医療として網膜色素上皮移植などの研究も進んでいます。

網膜色素変性
▲網膜色素変性
出血を伴った網膜色素変性症
▲出血を伴った網膜色素変性症
CPFは網膜色素変性の羞明防止用の眼鏡
▲CPFは網膜色素変性の羞明防止用の眼鏡


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