加齢黄斑変性



加齢黄斑変性は白内障と並んで高齢者の視力障害の原因として重要な疾患です。加齢黄斑変性は眼底で最も重要な黄斑部に出血が生じるもので、その多くは黄斑部の脈絡膜由来の新生血管やポリープ状血管から出血します。本疾患の発生メカニズムはまだ不明の部分が多いですが、HRA検査やOCT検査で、病態が分類されつつあります。
広義の黄斑変性症には
①いわゆる狭義の加齢黄斑変性症(ARED):脈絡膜新生血管からの出血
②ポリープ状脈絡膜血管症(PCV:Polypoidal choridal vasculipathy)
③網膜内血管腫様増殖(RAP:Retinal angiomatous proliferation)
に分けられ、これらの鑑別には蛍光眼底検査(FAG)と赤外蛍光眼底検査(ICG)撮影検査が必須です。
(当院ではFAG検査もICG検査も最新の装置で行っています。)
狭義の加齢黄斑変性症(ARED)
ARED
脈絡膜由来の新生血管(CNV)が網膜下または網膜内に進展し、出血を繰り返す。検眼鏡的に橙赤色の新生血管膜(CNV)が観察され、その周囲に出血や網膜浮腫、滲出性剥離などが伴う。脈絡膜新生血管が網膜色素上皮下にある場合は蛍光眼底検査では解らず、赤外蛍光眼底検査でかろうじて診断できる場合もある。脈絡膜新生血管は造影形態からClassic CNV、Occult CNV に分類されている。
PCV
検眼鏡的に橙赤色隆起性病変を示し、ICG検査で特徴的なポリープ状病巣を認めればPCVと診断されます。従来の滲出性黄斑変性症の約40%前後がPCVではないかと考えられます。PCVが脈絡膜血管異常なのか脈絡膜新生血管なのかその本態は未だ不明です。片眼性で、男性に多く、動脈硬化や高血圧の患者に生じやすいとされています。PCVの約半数が視力予後良好ですが、ICGにて多房のブドウの房状の造影像を示し、出血型の経過をとるものは視力予後不良です。
RAP
日本人の滲出性黄斑変性症の2~3%にあるのではないかといわれています。
網膜血管と脈絡膜血管が吻合したものをさしますが、発症機序はまだ不明です。現在のところ治療が難しい病気です。
本疾患の治療法として
①内服療法
②レーザー光凝固術
③経瞳孔温熱療法(TTT:transpupillary thermotherapy)
④ケナコルト球後注射
⑤PDT療法(フォトダイナミックセラピー)
⑥新生血管抜去術(硝子体手術)
⑦黄斑移動術(硝子体手術)
⑧抗血管内皮増殖因子(anti-VEGF)眼内注射療法・・・ルセンティスの硝子体内注射が保険適応となりました。これは、これは、根治療法ではありませんが、現在のところ最先端医療です。当院でも慎重に行っております。
どの治療法を選択するかは蛍光眼底検査(FAG)、赤外蛍光眼底検査(ICG)検査、眼底画像解析検査(OCT)などで慎重に判断されます。加齢黄班変性でお悩みの方は、遠慮なくご相談下さい。

加齢黄斑変性症
▲加齢黄斑変性症
PCVのHRA検査:左がFAG,右がICG
▲PCVのHRA検査:左がFAG,右がICG
PCV所見:ICGでぶどうの房状の異常血管
▲PCV所見:ICGでぶどうの房状の異常血管


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