多発性粉瘤症



「粉瘤」という病気をご存知ですか?簡単にいえば表皮にできる分泌性の脂肪の塊で良性腫瘍です。体のいたる所にできます。多いのが顔、おしりなどです。時に細菌感染を起こし、「糞瘤」という臭い匂いと膿が出るものに変身します。
今回ご紹介する患者さんは30歳男性です。他の病気で高橋クリニックを受診しました。ところが目に留まったのが陰嚢から陰茎にかけて多発する「粉瘤」です。大きいもので直径が1.5cm以上あります。良性腫瘍ですから放置していて構わないのですが、病気を知らない異性が見たら恐らく引いてしまうでしょう。正式病名は「多発性陰嚢粉瘤症」です。女性の場合もあり、女性の場合は「多発性陰唇粉瘤症」といいます。尖圭コンジローマを治すと同時に、粉瘤を治しましょうと提案をしました。患者さんは快諾です。
仙骨神経ブロックと局所麻酔の併用を前処置として行い、早速手術です。電気焼灼で腫瘤の中心に穴を開け、その中に電極を刺入させます。さらに通電すると脂肪の塊が柔らかくなり、腫瘤を指で圧迫すると潮の花のように吹き出たり、ラードのようにクネクネと出てきます。この病気の厄介なところは、脂肪の塊だけを除去しても再発してしまうのです。脂肪を作る袋が存在していて、この袋を除去しなければ、また脂肪の塊が出来てしまうのです。再発させないために電気焼灼で袋を可能な限り焼き取ります。
手術後2週間後の所見です。大きな粉瘤の跡はなくなりしぼみました。まだ小さな粉瘤は確認できますが、手術前の陰嚢の外観から比べるとかなりスマートになりました。患者さんは現在の状態でほぼ満足なさっています。将来残っている粉瘤が大きくなったら手術することになりました。

手術前
▲手術前
脂肪の噴出
▲脂肪の噴出
手術2週間後
▲手術2週間後


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