うつ病と誤診されやすい躁うつ病(双極Ⅱ型障害)

軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード(DSM=Ⅳ)

気分障害には、うつ病、躁病といった単一性の疾患の他に、躁うつ病という双極性の疾患があり、これには中等症以上の躁病相に加えて大うつ病がつづき、誰が診ても躁うつ病と分かる双極Ⅰ型と、極めて軽症の躁病相に反復性の大うつ病がつづく双極Ⅱ型があります。問題なのは、この軽い躁病相に本人も周囲も気づかない例や、指摘しても認めたがらぬ例も多いことです。うつ病は完全に治った。仕事もバリバリやれるし、病気なんかではないと主張し、この状態での受診は勿論なく再びうつ病相となり受診します。単一性のうつ病と躁うつ病では、治療法が異なります。薬物としては気分安定薬の炭酸リチウム(商品名リーマス)とバルプロ酸(デパケン)の内服が主です。これ等のクスリは治療と同時に、長期服用により新しい病相を予防するのも目的です。 
双極性障害は躁病相が特定されれば診断は簡単です。しかし極く軽い躁病相(双極性障害Ⅱ型)では、軽いだけに見落とされ、誤診されやすいのです。若い20歳代で発病する(うつ病)では、後に双極性障害になることもあり、経過を慎重にみるべきであると指摘されています。双極性障害にはⅠ型とⅡ型とあり、そう病相が中等症以上がⅠ型、軽躁であればⅡ型で、うつ病相に両者の違いはありません。
単極性のうつ病と双極性障害のうつ状態の治療は異なります。難治性の(うつ)の場合双極性障害を考えておくべきでしょう。 


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