エイズ、結核、インフルエンザ・・・。「古くて新しい病気」
感染症
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感染症は「古くて新しい病気」といわれています。ご存じのように戦前から戦後まもなくにかけて、結核は日本の国民病であり、非常に多くの人が亡くなりました。「結核にかかった」というと、今のがん以上に人々が恐怖を感じたものです。抗生物質の出現により、結核は激減しました。
しかし20世紀の終わりから、今度はウイルスを主とするそれまでになかった新しい感染症がでてきて、人間との知恵くらべをやっているような状態がつづいています。感染症のさいたるものがエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)です。
たいへんな勢いで広まった エイズ
エイズは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とよばれるウイルスに感染することによって発症します。HIVは免疫のかなめであるCD4陽性リンパ球に感染し、細胞のはたらきを妨害します。そのために、体の免疫機能がはたらかなくなり、ほかの細菌感染に対して抵抗力がなくなって、命を落とす病気です。
エイズはHIVが性的交渉によって感染する性感染症なので、急激に感染者がふえたことで有名です。
検査所見はTリンパ球の減少などですが、確定診断はHIVに対する抗体、さらにHIVを発見することによって行われます。最近では、HIVに対する治療薬も出てきて、状況は以前よりだいぶ良くなってきています。
結核は過去の病気ではない
かつて猛威をふるった結核は、抗生物質の出現により患者数は非常に減りましたが、最近またふえてきています。原因の一つは外国との交流がさかんになったことです。もう一つの原因は、医療関係者が結核は過去の病気であるという誤った認識をもってしまったということです。
結核の主症状は難治性のせき、血たんです。診断は胸部のレントゲン写真で行います。結核に特異的な結果がでる血液検査はとくにありません。炎症反応が陽性になることぐらいです。確定診断は喀たんのなかで結核菌をみつけることです。軽度の場合は喀たんでは証明されず、レントゲン像だけで結核の診断をするときもあります。
ほとんどの場合が抗結核薬で治りますが、まれに抗結核薬に耐性の菌も出現しているので、感受性のある薬を使う必要がある場合もあります。
結核は無視できない病気です。一般の人も結核は過去の病気ではないという認識をもつことが大事です。
5〜6年おきに大流行する インフルエンザ
インフルエンザは、風邪の強いようなもので、インフルエンザウイルスによって引きおこされます。体の抵抗力が衰えている病人や、子どもがかかると重篤化して、ときには亡くなることもあります。最近は予防注射をすることで感染を防ぎます。
ただし、ウイルスが頻繁に形をかえるので、かならずしも予防注射で100%感染を予防できるわけではありません。だいたい5〜6年おきに大流行がおこります。
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