自己抗体やリンパ球をつくり、自分の体を攻撃する
自己免疫疾患
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免疫は外からきた細菌やウイルスに対して、これを排除するようにはたらきます。しかし免疫に何らかの異常があると、自分の体や組織を異物のように認識して、自己抗体やリンパ球をつくり、自分の体を攻撃することがあります。これを自己免疫疾患といいます。
いろいろ研究が進んで、それぞれの病気に関して、どこに免疫の異常があるかが調べられています。まだ自己免疫疾患に分類されていない、ほかの原因不明の病気の一部も、自己免疫的なメカニズムでおこっているとも考えられています。
一般的に免疫の異常は、免疫グロブリン(抗体。IgG、IgM、IgAなど、いくつかの種類があり、血液などの体液中に存在する)の量や、リンパ球のなかのT細胞やB細胞の数や割合をはかる、あるいはT細胞のなかにあるCD4陽性細胞とCD8陽性細胞の数やバランスをはかることでわかります。
さらに自己免疫疾患の患者にだけ、自分の体を攻撃する抗体が検出されるので、それを発見することによって診断されています。
慢性関節リウマチ
自己免疫疾患の代表的なものとして、慢性関節リウマチがあります。これは自分の免役グロブリンに対して抗体をつくってしまう病気です。自分の関節や軟骨に対しても免疫がはたらいてしまって、これらをこわしてしまう疾患です。患者のなかには関節が変形して、痛みを訴える人もいます。この病気は、思春期から閉経期前の女性に多く発病し、日本には約60万人の患者がいるといわれています。
慢性関節リウマチの診断は、主にレントゲン、血液検査ではリウマチ因子(患者の70〜80%にみられる自己抗体)やMMP−3で行います。
血液的に免疫の異常を調べる方法はいくつか考案されていますが、決定的にこれでわかるというものはまだありません。
全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデスは、難病の代表的な疾患の一つです。これは自分の細胞の核のDNAやRNAに対して、免疫反応がおこるために体中の細胞に対して攻撃をする疾患です。症状としては、皮膚の紅斑や、腎臓の障害などがあります。
検査では抗核抗体反応が陽性になるのが特徴です。全身性エリテマトーデスは、かつては治療がきわめてむずかしい疾患といわれていましたが、現在はステロイド療法で長期的にコントロールできるようになりました。
そのほかの自己免疫疾患
そのほかの自己免疫疾患として、涙やだ液の出ないシェーグレン症候群、皮膚がかたくなる全身性硬化症、筋肉の炎症をおこす多発性筋炎、末梢神経の炎症をおこすギラン・バレー症候群、血小板を減らす特発性血小板減少性紫斑病、赤血球を溶血させる自己免疫溶血性貧血などがあります。
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