痛風
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痛風とは? |
西銀座診療所(内科) 医学博士 隈部 時雄 |
◆痛風のセルフケアー ①太り過ぎないように、腹八分目に ②ストレッチ等、適度な運動をする ③あんきも等酒の肴には気をつける ④ビールはやめる、お酒も控えめに ⑤水分は十分に取り、尿をよく出す ⑥過労やストレスを避けリラックス ⑦果物やジュースの取りすぎに注意 ⑧プリン体を多く含む食品は避ける ⑨動物性脂肪を取りすぎないように ⑩症状がなくても、定期的に検査を *痛みを抑える急性期の治療と。 長期的な尿酸のコントロールが必要です。 まず第一に、偏った食生活を送らないことです。 バランス良く、一目三食、ゆっくり腹八分目が基本です。 厳重な食事制限の必要はありません。 痛風の方の場合は、プリン体を多く含む食事には注意が必要です。 例えば、あんきも・しらこ・レバー・いわし、あじ、さんまの干物 ・えび・カニみそ・かつお等です。 酒の肴に多く含まれていますので、要注意。 ビールも控えて下さい。 また毎日肉食という人も問題です。 動脈硬化の予防として、いわし等がいいと言われていますが、痛風には悪い、 というようなこともありますので、食事の注意は難しいものがあります。 食事からのプリン体の摂取は、細胞の新陳代謝から出来るプリン体に比べて少ないです が、余分なプリン体の過剰摂取はつつしみましょう。 痛風だからというわけではなく、成人病・動脈硬化の予防といった広い意味での食生活の改善が必要です。 かかりつけ医とよくご相談下さい。 ◆痛風とは 体の中の尿酸値が高くなり、主に足指の問節などに、突然激しい痛みを生じる病気をさします。 体を構成している細胞の主要な成分は核酸で、プリン体が含まれています。 尿酸は、体の新陳代謝によって出来たプリン体が分解して出来た残りカス(老廃物)です。 つまり尿酸は休まず常に産成されています。 また食べ物の中にもプリン体が含まれていますが、ほとんどが尿酸に分解されて排泄されてしまいます。 またたんぱく質からもプリン体は合成されるので、過剰にたんぱく質を摂取すると尿酸は増加します。 尿酸は血液により腎臓に運ばれ、ほとんどは尿中に排泄されます。 この仕組みは複雑ですが、女性ホルモンは排泄促進の作用があり、その為痛風は女性には少ない病気です。 体の中で何らかの原因で、例えば腎臓からの尿酸の排泄が低下した場合、稀に尿酸の過剰な産成などにより、 尿酸の濃度が高くなると、それが結晶化して問節などに沈着し、痛みの発作となります。 この痛みは突発的な激痛となり、足の親指に起こりやすいほか、足首・膝・手にも起こります。 慢性的に繰り返していると痛風結節という瘤のような状態になってしまいます。 また進行すると「痛風腎」「腎臓結石」などの腎臓障害が起こります。 患者さんは、圧倒的に中年の男性に多くみられます活発な性格で太っている、 ストレスの多い人にみられます。 激しいスポーツの後に発作を起こすこともあります。 戦前にはほとんど無かった病気ですが、戦後の食生活の欧米化等により、急に患者数が増加し、 予備軍数百万人・患者50万人ともいわれる、代表的な成人病になっています。 ◆長期的な尿酸のコントロールが必要 急性期の激痛・間節炎の症状が治まった後も、長期的な尿酸のコントロールが必要です。 まず薬物療法としては、尿酸の過剰な産成を抑える薬、腎臓からの排泄を促進する薬の 二種類があります。かかりつけ医で長期的に血液検査をしながら経過を追って療養を続け て下さい。また尿が酸性になると結石ができやすいので尿をアルカリ化する薬も必要で す。痛みが無くなっても、通院は欠かせませんのでご注意下さい。 ◆他の病気のこともある りウマチ、外反母趾、関節炎、細菌感染などでも、指や足の痛みが出ます。 きちんとした診断を付けることが大切です。 血液検査で尿酸値をチェックしてください。 また、痛風に高血圧、糖尿病、高脂血症等が合併している人が多くみられますので、総 合的な治療がポイントです。 ◆贅沢病?今は一般病 アレキサンダー大王・ルイ16世・ゲーテー・スタンダール・ーニュートン・ダーウィンなど の歴史的な著名人も痛風で苦しんだようです。 贅沢病といわれた訳はこのような所からきているようです。 しかし現代では、ごくありふれた成人病の代表になっていますのでご注意下さい。 特に初期は全く自覚症状がありませんので、年に一度は必ず尿酸の倹査を受けて下さい。 |
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