高 血 圧


今日から日常生活の改善を

西銀座診療所(内科)
隈部時雄

高血圧のセルフケアー ☆☆☆日常生活の注意10カ条☆☆☆

① 肥満を改善し、適正体重に近づける
② タバコは絶対にやめる
③ 塩分を1日10g以下に制限する
  (欧米では1日6g以下としている)
④ 軽い運動を毎日続ける
  (急な階段昇りや、激しい運動は避ける)
⑤ 十分な睡眠と、楽しい趣味を持つ
⑥ アルコールはほどほどに
⑦ 過剰な脂肪の摂取を避ける
⑧ 寒さを避け、おふろは39℃位で
⑨ 野菜、海藻を多く、便秘をしない
⑩ カッカ、イライラ、クヨクヨしない

☆上記のチェック事項を守りながら、定期的に主治医を訪ねて血圧を測るのが一番よい高血圧の管理でしょう。
また、高齢社会を元気で生きる秘訣は、「血圧のコントロールにある」と言っても過言ではありません☆


【1・高血圧とは】


 WHO/ISHで決めた1999年の新しい指針では、正常血圧は、収縮期130mmHg未満、かつ拡張期85mmHg未満であるとしています。
高血圧症には大きく分けて二つの種類があります。
 一つは原因がわかっている「二次性(症候性)高血圧症」で、原因としては、腎臓や内分泌系や心臓の病気などがあります。
 次に原因のわからないケースを「本態性高血圧症」といい、日本人の90%以上を占めます。
体質など複雑に組み合わさって関与します。また高齢になるにつれ動脈硬化が進行し、血圧が上昇します。
 高血圧はもっとも多い病気で、日本だけでも3000万人、もちろんその大部分は軽症の高血圧なので何の症状もなく日常生活に全く差し支えありません。
 しかし10年先、20年先には脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症を引き起こす率が高くなる可能性があります。


【2・実は死亡原因の第1位です】

 日本人の死亡原因の第1位は悪性腫瘍(がんなど)で、第2位は、心筋梗塞や狭心症などの心臓病、第3位は脳出血や脳梗塞などの脳血管障害です。
この第2位と第3位の病気はいずれも、その原因に高血圧が大きく関与しています。
 また、高血圧が長く続くと腎臓の機能が失われ、人工腎臓や腎臓移植が必要になることもあります。
 さらに動脈硬化は眼底出血をおこして突然目が見えなくなることも少なくありません。
 また、高血圧では、血管が健康な人より、10年も早く老化してしまいます。


【3・高血圧の治療について】

 治療には日常生活の注意10カ条に述べたような一般療法と薬物療法の2つがあります。
 かかりつけ医の先生とよく相談をして、ゆっくり時間をかけて治療を続けてください。
 高血圧の薬物療法で最も重要なことは、病気そのものを完全に治すのではなく、血圧をほどよい安全なところまで下げ、その状態を長期間キープすることにより、突然起こる脳卒中や心臓病などの致命的なおそろしい病気を予防するということにあります。
 したがって患者さんと医師の2人3脚であせらずに長年にわたって治療を続けていくことが大切です。


【4・危険な運動について】

 適度な運動は、血圧を下げるのに有効です。しかし、運動の種類ややり方によっては、とりかえしのつかない重大事になってしまうおそれもあります。
 まず、第一に、炎天下や寒い日の運動は止めましょう。
 また、ゴルフコンペでティーショットをした直後やバーディーパットを狙った時に突然倒れることがあります。多くの場合は、高血圧に狭心症や心筋梗塞を併せもった人におこります。
 また、短距離走、マラソン、本格的な登山、競泳そして重量あげなどのスポーツは避けてください。
 また、ふだんまったく運動していない人が、急に激しい運動をするのもよくありません。


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