健康診断の血液検査について
|
からだの異変の早期発見 |
西銀座診療所(内科) 隈部時雄 |
健康診断のチェックポイント ① 年に1回以上は、必ず健康診断を受ける ② ご家族・ご両親の定期健康診断も毎年確認 ③ 「再検査、再精査」の時は、必ず再受診 ④ 検診の結果を、日常生活の改善に生かす ⑤ かかりつけ医を持ち、いつでも気楽に相談 ⑥ 太りすぎたら、成人病の総合検診も追加 ⑦ がんの早期発見の為に、がん検診も行う ⑧ 検診結果を過信せず、不調時は直ぐ受診 ⑨ 少し病気気味の場合も、きちんと検診を受ける ⑩ 各人で健康診断の結果は大切に保存する 【GOT/GPT】 これらは肝臓機能の検査として有名です。からだの酵素の一種で、GOTは心臓に一番多く、次いで肝臓、骨格筋の3か所に集中しています。 GPTは肝臓に一番多く含まれる酵素です。 ※GOTが増えた時… ● 心筋梗塞 ● 進行性筋ジストロフィー ※GOTとGPTが増えた時… ● 急性肝炎 ● 慢性肝炎・脂肪肝 ● 肝硬変・肝臓がん 【γ-GTP】 γ-GTPは、主に肝臓や腎臓、膵臓などに含まれている酵素です。 またアルコール多飲者で高値を示します。 ※値が高い場合… ● アルコール性肝臓障害 ● 急性肝炎、肝臓がん ● 閉塞性黄疸 【血 糖】 糖尿病を発見する手掛かりになります。一般に血液中のブドウ糖を血糖といい、からだを作るいろいろな組織細胞のエネルギー源となる重要な物質です。 ※血糖値が高い時… ● 糖尿病 ● 急性すい炎、膵臓がん ※血糖値が低い時… ● 高インスリン血症 ● 脂肪肝、肝硬変、肝臓がん ● 悪性腫瘍 【白血球数】 白血球は、外敵から防御する兵士の様な役割を果たしています。 ※増えた時…かぜや肺炎、盲腸(急性虫垂炎)、胆嚢炎、膵炎、膀胱炎、腎盂炎などの炎症、心筋梗塞。白血病は数万以上に増加。 ※減りすぎた時…膠原病、悪性貧血等の病気、抗がん剤治療の副作用など。 【赤血球数】 RBC赤血球は酸素を運ぶ働き等をしています。 ※減りすぎた時…貧血。 ※増えすぎた時…多血症。 【ヘモグロビン】 血色素ともいい、血液の赤さのもととなる成分です。 ※減りすぎた時…10以下は貧血。 【総コレステロール】 コレステロールが多すぎると、血液の内側に付着して動脈硬化を起こし、高血圧や心筋梗塞の原因となります。しかしコレステロールは全身の細胞をつくる成分として大切な役割を果たしています。 少なすぎると脳や血管などに栄養がいかなくなり、脳卒中等が起こりやすくなります。 ※値が高い時… ● 動脈硬化、糖尿病 ● 家族性高コレステロール症 ● 甲状腺機能低下症 ※値が低い時… ● 甲状腺機能亢進章症 ● 肝硬変 ● 貧血、がん、栄養障害 コレステロールには、動脈の血管壁に溜って動脈硬化を促進する悪玉(LDLコレステロール)と、その悪玉を血管壁から肝臓に運び去る善玉(HDLコレステロール)とがあります。 【中性脂肪<トリグリセライド>】 中性脂肪はからだのエネルギー源ですが、過剰になると血管の壁に結びついて、動脈硬化を進めるといわれています。また皮下脂肪も中性脂肪であり、食べすぎによる肥満、お酒の飲みすぎにより、異常に高い結果になります。 ※値が高い時… ● 動脈硬化症 ● 高脂血症、糖尿病 ● 肥満症、脂肪肝 ※値が低い時… ● 甲状腺機能亢進症 【定期健康診断はなんのため?】 現在、日本人の3人に2人は「がん」「脳卒中」「心臓病」の三大生活習慣病(成人病)で死亡しています。生活習慣病(成人病)は、ある日突然病気になるのではなく、体の中で深く静かに進行していく病気です。自覚症状が出てからでは手遅れになりますので定期的な健康診断で早期に発見することが大切です。 健診は体の異変を早期発見しますが、『健康を創っていくのは自分自身です』このこともお忘れなく。 |
|