あくび


メディカルライフ教育出版2003年9月号

北野クリニック(内科)
北野英基

ドクターアドバイス画像
▲上記出版物より
あぐびのメカニズム
もともと、脳という器官は非常に“大食漢"で、体重の半分の重さ

をもつ筋肉と同じくらいのエネルギー(成人男子で一日約500kcal)

を消費します。さらに、脳には全身の血液の20%が流れ、呼吸に

よって取り入れた酸素の20~25%を消費しています。

このように、脳は多量の酸素を必要とするため、周囲の空気中に

酸素が不足した場合や、血液から運ばれてくる酸素の量だけでは

足りなくなる場合があります。そんなとき脳は、強制的に酸素を

取り入れようと反射を起こします。

それがつまり、あくびです。

あくびは、酸欠状態になった脳に、大量に酸素を取り入れ補給す

るための、一種の深呼吸といえます。退屈なときや眠いとき、ま

た疲れや緊張しているときなど、あくびをするケースはさまざま

ですが、これも脳の酸素不足によって起こる一種の反射なのす。

ところで、あくびは口を大きく開ける動作をしますが、これにも

理由があります。大きく口を開けるときに最も使うのは、咬筋(こ

うきん)とよばれる咀嚼筋(そしゃくきん)の一種です。この咬筋が

強く引き伸ばされることによって、それが刺激として脳に伝わり

ます。いわば顔面のストレッチ効果で、脳の覚醒を促がす働きを

するのです。

あくびというと、一般的には間の抜けた仕草に見られがちでが、

脳を活性化するという重要な働きがあるといえるでしよう。


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