混合診療と患者自己負担



宇部内科小児科医院(内科)
團 茂樹

抗ガン剤治療において、たとえ海外で優れたデータが集積されていても日本では未承認薬やガン種によりその保険適応がとれていない抗ガン剤を保険適応治療薬と併用して治療する場合(混合診療といいます。)は保険適応剤も含めすべて病院側の自己負担もしくは患者さんの全額負担となり保険は効きません。

例を挙げましょう。一ヶ月の抗ガン剤の治療費が百万円とします。保険適応がすべて認められている抗ガン剤の組み合わせの治療なら患者負担金は三割、三十万円です。更に数ヶ月後に高額医療費の差額として約二十三万円が還付されます。しかし混合診療の場合は、患者さんまたは病院が百万円払い、勿論還付金はありません。

では、欧米の抗ガン薬をすべて承認すると上記で類推できますように国庫の負担が多くなりすぎます。

国が混合診療を認め、海外で評価されている薬は国がいち早く承認し、しかし日本での臨床データが集積するまでの間はその薬を全額患者負担とし、併用する保険適応薬に関しては、保険扱いとすればよいと思います。

ガンは増えつつあるので患者側も予め民間のガン保険に加入して混合診療の自己負担分を準備するように努めるとよいと思います(自己責任)。

混合診療が認められれば、医師側の治療選択肢も増えます。ガン治療には抗ガン剤だけではありません。患者の疼痛管理やQOL(生活の質)向上のための医療行為についても治療費負担が国にかかりすぎる場合はこれも混合医療を導入すると良いと考えます。


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